キャッシングについて
キャッシング とは、クレジットカードに付帯しているキャッシング機能を利用して、利用可能枠の範囲内でATMやCD(キャッシュディスペンサー)でお金を借り入れる行為のことを指します。
キャッシングは、手持ちがない時でも保証人・担保不要で簡単に現金を引き出すことが出来る便利なサービスですが、もちろん自分の預貯金を下ろすわけではありません。
「お金を借りる = 借金をする」ということであるため、返済時には元金だけでなく利息(金利手数料)をつけて返す必要があります。
キャッシングの金利は、カード会社やクレジットカードの種類によって異なりますが、一般的には年18.0%程度です。
つまり、キャッシングを利用した場合は、必ず借り入れをしたお金よりも多めに返済する必要があります。
また、返済期日に支払いが出来ない場合は、金銭消費貸借契約に従って遅延損害金(年20.0%)が発生することになります。
そのため、返済計画に失敗し、スムーズな返済ができなくなるとトータルの借金が大きくなります。
かつては、キャッシングで返済が滞ると、厳しい取り立てや多重債務状態になり債務超過に陥るなど、深刻な社会問題として認識されていました。
現在では、2010年に改正された貸金業法という法律により、行き過ぎた取り立て行為は禁止されています。
キャッシングの返済とリボ払い

キャッシング利用時の返済方法は、1回払い(一括払い)かリボ払い(リボルビング払い)が一般的です。
1回払いを選択すれば利息の支払いは一度で済みますが、リボ払いを選択した場合は返済期間が長期化しやすく返済総額も大きくなりやすいと言われています。
リボ払いは、金利が高い反面、毎月の支払いは一定額で利便性に優れるため、お金を借りている感覚が薄れるなどの危険性を指摘する声は根強くあります。
クレジットカードの支払い方法は、なるべくリボ払いは避けて1回払いに設定することが望ましいと言えます。
ただし、借入額が大きくなると一回で返済するのは難しくなるため、一般的には分割で支払うことになります。
【関連ぺージ】 リボ払いの借金と債務整理
1回払い | リボ払い | |
---|---|---|
概略 | 借入金を一括で返済する方式 | 毎月一定の金額を返済する方式 |
返済方法 | 口座振替のみ | ATMでの振り込み返済 口座から振り替え返済 |
メリット | 返済回数の減少 利息の負担を軽減 | 一回の返済額が小さい |
デメリット | 一回の返済額が大きい | 返済期間が長期化する 利息の総額が大きくなる |
キャッシングの返済に困ったら

クレジットカードでキャッシングを利用した場合は、借主は元金に返済日までの金利を加えた金額を返済する必要があります。
キャッシングの返済は、リボ払いが一般的です。
返済方法をリボ払いで契約した場合は、毎月、滞りなく返済期日に一定額を返済していれば、残債を支払う必要はありません。
これを「期限の利益」と言います。
期限の利益と期限の利益喪失約款
期限の利益とは
期限が定められていることによって債務者が受ける利益のこと。
借金の返済期限が契約で設定されている場合は、債務者は期限が到来するまでは返済する義務はありません。
また、支払期限が到来する前に債権者から返済を求められることもありません。
しかし、金銭消費貸借契約では、1回でも返済期日までに返済できなかった場合は、期限の利益を失うという内容が付加されています。
この期限の利益を失うという契約内容のことを「期限の利益喪失約款」と言います。
期限の利益喪失約款とは
債務者が分割払いで債務の返済をする契約において、債務者が契約通りに返済期日に返済をしなかった場合は、債権者が債務者に残債全額を一括払いで支払うよう請求することが出来ると明記した約款のこと。
一度でも返済が滞った場合は、この「期限の利益喪失約款」に基づき、借主は「期限の利益」を失います。
つまり、債権者から、元金だけでなく遅延損害金を含めた全額を一括で返済するように求められることになります。
しかし、高額の借入れをしている場合は、残債を一括で返済することはきわめて難しいため、借金の減額を視野に入れた債務整理を検討する必要があります。
任意整理で債務負担を軽減
クレジットカードのキャッシングも消費者金融からの借入れと同様に債務整理をすることが出来ます。
キャッシングによる借金を解決するための債務整理手続としては、任意整理を選ぶケースが一般的です。
任意整理とは、裁判所を介さずに債権者との交渉により、借金の減額を図る債務整理手続です。
自己破産の免責とは違い、これまでの借金がゼロになることはありません。
あくまでも、完済することを目的としており、現在よりも有利な条件で返済を続けることになります。
【関連ぺージ】 任意整理とは
任意整理のメリット
任意整理をすると以下のようなメリットがあります。
- 将来利息や遅延損害金のカットにより、返済負担が軽減する。
- 現在の収入に応じて、柔軟な返済計画を立てることが出来る。
- 専門家に依頼すれば、電話や督促などがストップする。
任意整理は、無理のない新しい返済計画を立てて債権者と交渉をすることで、和解を成立させることが目的の手続です。
経過利息や将来利息をカットすることで、返済負担を減らして完済を目指すことになります。
経過利息とは
最終支払い日以後、債権者との間で和解書が作成されるまでの間に加算される、利息や遅延損害金こと。
将来利息とは
返済が終わるまで、将来的に負担し続けなければならない利息のこと。
専門家に任意整理を依頼すると、債権者に対して受任通知が送付されます。
債権者に受任通知書が届くと、その時点で督促や取り立てなどの行為は出来なくなります。
任意整理のデメリット
任意整理をした場合のデメリットも確認しておきましょう。
- 5年間は新たな借入れが出来ない。
- クレジットカードの使用停止
- 債権者が交渉に応じてくれない場合もある。
任意整理をすると、その事実は信用情報機関に登録されます。このことを俗に「ブラックリストに載る」と言います。
【関連ぺージ】 債務整理と事故情報の登録期間(ブラックリスト)について
任意整理の場合、信用情報機関への登録期間は5年です。
そのため、5年間は新しい借入れやローンを組むことは不可能になります。また、クレジットカードを作ることも難しくなります。
また、任意整理を開始すると、それ以降はカードを使用することが出来なくなります。
公共料金や携帯料金、その他の支払いにクレジットカードを利用している場合は、それぞれの会社(電気会社や携帯電話会社など)に問い合わせをして支払い方法を変更する必要があります。
任意整理は、その他の債務整理手続とは異なり、個人間での任意の交渉による解決を主眼とします。
交渉で妥協点が見出せず折り合いがつかない場合は、和解が成立しません。
そのため、任意整理を弁護士・司法書士に依頼する際は、その事務所の解決実績や成功率で判断する必要があります。
任意整理の方法は、キャッシングの返済方法で交渉内容が変わってきます。
1回払い(一括払い)の場合
キャッシングの1回払い(一括払い)で返済不能に陥るケースとしては、高額の借入れをしたことにより、給料の大部分を返済に充てなくてはならなくなる場合です。
返済期日にカード会社に返済をしてしまうと、その月は金銭的に厳しくなり、生活費に回す余力が無くなってしまいます。
カードのショッピング枠も使い切ってしまった場合は、再びキャッシングで借入れをして、生活費を工面するという状況に陥りやすくなります。
これでは、借金のために借金をしてしまう「自転車操業」と変わらない状態になるため、任意整理をして返済負担を減らすことが大事になります。
任意整理手続きをすれば、毎月の高額な支払いを金利なしの長期分割で返済することが可能です。
毎月の返済負担を大幅に軽減することが出来るので、膨れ上がった借金も返済しやすくなり、完済の目処が立ちます。
リボ払いの場合
毎月の返済をリボ払いで行っている場合は、返済が長期化しやすく、利息も雪だるま式に嵩んでいくため、気づかない内に返済総額が膨らんでいるケースが多いと言われています。
通常、キャッシングの利息(実質年率)は数%~20.0%程度ですが、任意整理をすればこの利息の支払いがカットされます。
また、利息カットと併せて、支払いの遅延により発生している遅延損害金のカットも応諾してもらえる可能性があります。
将来利息をカットすることで毎月の返済負担を減らすだけでなく、返済期間を延長をすることで、毎月の返済額を調整することが出来ます。
リボ払いは、返済期間が長期化すればするほど、利息の負担が大きくなるのが特徴ですが、任意整理をすればその心配もありません。
一般的は、3~5年をかけて返済していくことになります。
任意整理をした後は、信用情報機関にネガティブ情報(金融事故情報)として登録されるため、5年間は新たな借入が出来なくなるというデメリットがあります。
しかし、考え方を変えれば、これまでの借金癖を直す良い機会になるため、あまりネガティブに捉える必要はないかもしれません。