自己破産の概要
自己破産 とは、多重債務で首が回らないなどの理由で、とにかく借金を帳消しにしたいという人に最適な債務整理手続きです。
自分が生活するための必要最低限の財産以外を国に提供する代わりに借金を免除してもらう手続きのことをいいます。
自己破産は多重債務の悩みを抱える人を救済するために国が定めた法的制度です。
任意整理や個人再生を行っても、多額の借金が残ってしまい、どうしても借金が返済できないという場合は、地方裁判所に自己破産を申し立てることになります。
ただし、自己破産は、債務整理の中でも最終手段として位置づけられる手続きです。
そのため、その他の債務整理手続きで借金問題を解決できる場合は、自己破産をしないに越したことはありません。自己破産をすべきかどうかの判断は、弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談することをおすすめします。
自己破産をして免責が下りれば、全ての借金が無くなることになります。

しかし、自己破産には生活必需品を除く一定の財産を手放さなくてはいけない、官報に名前や住所が掲載されるなどのデメリットがあります。
車や自宅を手元に残す意思がある場合は、民事再生を利用することになります。
また、破産後10年間は、信用情報機関の事故情報として登録される(ブラックリスト)ため、新たにローンを組んだり、クレジットカードを作ることは出来なくなります。
同時廃止事件
住宅など換価できるような財産を特に所有していなければ、同時廃止事件となります。
同時廃止とは、破産管財人を選任しないで破産手続を終えることを指すもので、破産開始の決定と同時になされるものであるため「同時廃止」という呼び方をします。
統計上、日本では90%以上が同時廃止事件だと言われています。
管財事件
財産(生活する上で最低限必要な物を除く)を持っている場合や免責不許可事由に該当する場合は、管財事件となります。
免責不許可事由とは、その名の通り免責を許可することが出来ない理由です。ギャンブルや浪費などがその対象となります。
免責許可が下りない場合は、そのまま借金は残る(もしくは一部免除)ため、破産の申立てをしても支払義務から逃れることは出来ません。
管財人と呼ばれる人が借主の財産を調査し、財産があれば調査後に貸金業者へ配当します。
財産の調査には、長い場合1年程度かかることがあるため、その分費用も高額になることがあります。
一部の地方裁判所で自己破産の手続きを行う場合は、「少額管財事件」という手続きになることがあります。
「少額管財事件」は、予納金を少額にして、個人や零細企業にも利用しやすいようにするために考え出された制度です。
少額管財は、予納金の金額が少額であるという特徴があります。予納金が少額ということは、破産手続費用や破産管財人の報酬も少額で済まさなければならないということです。
ただし、弁護士が代理人となって自己破産の申立てをした場合に限るとされており、本人や司法書士の申し立てでは利用できないケースが一般的です。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産のメリット・デメリットを把握しておきましょう。
自己破産のメリット
自己破産のメリットには以下のようなものがあります。
- 免責許可が下りれば借金をゼロにすることができます。
- 借金がなくなるので取り立ての悩みから解放されます。
自己破産のデメリット
自己破産のデメリットには以下のようなものがあります。
- 一定の財産を手放さなくてはいけません。ただし、現金99万円以下、預貯金20万円までの所持が認められています。
- 自己破産をすると個人信用情報機関に事故情報として記録されるため、破産後10年間は、新たな借り入れをしたり、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることは出来なくなります。
- 国が発行する「官報」という機関紙に、氏名・住所が掲載されます。
- 自己破産が決定した後、免責が決定するまでの期間、一部の職業に就く事ができません。※
- 管財事件の場合は、申し立て人宛の郵便物が管財人に配達されます。裁判所の許可が無ければ、長期の旅行や転居をすることが出来ません。
※資格制限を受ける職業は、会社役員、宅建主任者、証券外務員、警備員、士業などです。
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