
借金の時効援用とは
calendar

借金の時効援用について
消費者金融やカード会社からの借金にも時効があります。
時効が成立すれば今までの借金は0になり、返済義務がなくなります。
しかし、借金の消滅時効は、時効期間が経過すれば自動的に成立するわけではありません。
時効を成立させるためには、債権者に対して時効が成立したことを通知する必要があります。
この債権者に通知する行為を「消滅時効の援用」と言います。
このページでは、消滅時効の援用について深く掘り下げていきます。
ドラマやニュースなどでよく耳にする刑事法の時効とは異なり、民法上の時効は一定期間が過ぎれば自然に成立するわけではありません。
借金の消滅時効を完成させるためにはいくつかの条件があります。
時効援用をするための条件

時効援用をして返済義務を消滅させるためには、大きく分けて3つの条件があります。
その3つの条件とは、次の通りです。
- 一定期間に渡って返済していない
- 消滅時効の援用手続きを行う
- 時効が中断していないこと
一定期間に渡って返済していない
まず、一定期間に渡って返済していないことが一つ目の条件です。
消費者金融などの商取引によって生じた債権(商事債権)は原則5年(商法522条)の時効期間となります。
また、いずれも商人ではない一般的な債権の消滅時効は原則10年(民法167条)です。
つまり、カード会社や消費者金融などに5年以上返済をせずに放置しているという人は、時効の成立要件を満たしていると言えます。
消滅時効の援用手続きを行う
次に、消費者金融やカード会社などの債権者に対して、時効制度を利用することを伝える必要があります。
これを「消滅時効の援用」と言います。
消滅時効の援用は、口頭や電話などで伝えることも可能ですが、きちんと証拠を残しておくために内容証明郵便で送付することが一般的です。
このように、借金の時効は、期間が経過すれば自然に成立するわけではなく、手続きを行う必要があるのです。
もちろん、「消滅時効の援用」は、個人でも行うことが出来ますが、記憶違い等で成立期間を満たしていないという場合も少なくありません。
このようなケースにおいて、消滅時効の援用を行った場合は、借金がゼロになるどころか、債権者側から督促が頻繁に届くこともあるため注意が必要です。
そのため、少しでも消滅時効に関して疑問がある場合は、専門家に相談してみることをおすすめします。
また、時効が中断していない(時効が振り出しに戻っていない)ことも、時効援用をする上での条件の一つです。
【関連ぺージ】 消滅時効の援用とは
時効が中断していないこと
消滅時効が進行していたのにも関わらず、それまで進行した時効期間が振り出しに戻ってしまうことがあります。
これを「時効の中断(民法第147条)」といいます。
時効が中断してしまうと、それまでの時効期間はリセットされ新たに10年の時効期間が開始することになります。
時効の中断事由は以下の通りです。
- 請求
- 差押え・仮差押え、または仮処分
- 承認
債権者からの催告書・督促状などに応じて、債務の一部でも返済してしまうと、債務の承認を行ったことになるため、経過していた時効期間はリセットされることになります。
【関連ぺージ】 消滅時効の中断とは
ただし、債権者が裁判所を通した支払督促の場合は気をつけなくてはいけません。
支払い督促が届いた場合は、2週間以内に裁判所に対して異議申し立てを行う必要があります。
そのまま放置していると、債権者の主張を認めることとなり、債務名義をとられることになります。
債務名義を簡単に説明すると、裁判所が債務があることを証明し、強制執行を行うことを認めた文書のことです。
つまり、支払督促を放置した場合は、判決などの債務名義を債権者の申立てに基づいて、債務者に対する請求権を、裁判所が強制執行により差し押さえを実行することが出来るのです。
債権者側からの督促に対して、素人判断で対応すると、後々取り返しのつかない事になるケースもあるため、催告書・督促状・支払督促が届いた場合は、時効制度に詳しい専門家に相談するようにしましょう。