特定調停の概要
特定調停 とは、借金の返済が困難になった債務者が、簡易裁判所の仲裁により債権者(貸金業者など)と返済条件の緩和等の話し合いをする債務整理手続きです。
特定調停は、任意整理と同様に利息制限法で引き直し計算で減額した借金を、3年程度で返済していくことになります。
同じ裁判所を介した手続きである自己破産とは違い、借金が免責されるわけではなく、調停成立も返済をしていく必要があるため、継続して収入を得ていることが条件となります。
そのため、特定調停は、裁判所を利用した任意整理と考えれば分かりやすいかもしれません。
平成12年2月から施行された比較的新しい債務整理手続きです。
特定調停を申し立てる場合は、特定調停申立書、財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料及び関係権利者一覧表などの書類を作成し、申立手数料(収入印紙)及び手続費用(予納郵便切手)とを併せて、簡易裁判所に提出する必要があります。
ただし、特定調停は、あくまでも双方の話し合いによる特例の調停であるため、債権者が自説を固持する場合は調停が成立しないこともあります。
特定調停と任意整理の違い
前述の通り、特定調停は、簡易裁判を通して債権者と交渉を行う債務整理手続きです。
任意整理は、弁護士や司法書士が債務者に代わって債権者と減額交渉を行いますが、特定調停の場合は、簡易裁判所が債務者・債権者双方の意見を考慮し、債務整理案を作成することで再建計画を図るというものです。
調停が成立すると調停調書が作成されます。
この調停長所は、確定判決と同じ効力が認められています。
そのため、調停成立後に支払いが滞ってしまうと債権者は訴訟提起をしなくても、この調停調書に基づいて直ちに給与の差押え等の強制執行手続が可能となります。
債権者との交渉は、ご自分もしくは依頼した弁護士、司法書士が行うことになります。
利息制限法の上限金利(15~20%)に引き直し計算をして、過払い金がある場合は、併せて過払い金請求をすることが出来ます。
特定調停は、簡易裁判所に申し立てを行います。
債権者との交渉は調停委員が行います。
特定調停は、現在の借金を利息制限法の上限金利(15~20%)に引き直して減額された借金をどのくらいの期間で支払っていくかを合意するための制度です。そのため、過払い金がある場合は、特定調停後に別途過払い金の請求をすることになります。
特定調停 のメリット・デメリット
特定調停のメリット・デメリットを把握しておきましょう。
特定調停のメリット
特定調停のメリットには以下のようなものがあります。
- 手続き費用が安いので比較的簡単に利用することが出来ます。
- 調停委員が交渉するため、専門的知識がなくても行うことができます。
- 利息制限法の上限金利(15~20%)まで金利を引き下げて再計算することで、借金を減額します。
- 他の債務整理に比べて早めに手続きが完了します。(申立後1ヶ月程度)
- 手続き中は強制執行をされることはありません。
特定調停のデメリット
特定調停のデメリットには以下のようなものがあります。
- 書類の提出や出廷など任意整理に比べて手続が煩雑です。
- 5年間は個人信用情報機関に事故情報として登録(ブラックリスト)されることになります。
- 調停成立後、支払いが出来なくなると給与等の差し押さえをされる可能性があります。
- 調停委員が債務整理の専門家とは限らないため、債権者寄りの対応を取ることがあります。
- 債権者が同意しないと調停が成立しないことがあります。
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